FAQ
1.一般的な質問
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Q:1-01 この装置を使用するメリットは何ですか?
A:
①現場でどこに水みちがあるのかその場で判断できる。従来の調査では、測定後、調査データを持ち帰り解析し、初めて場所が分かるというものが多い。
②装置が小型・軽量で、1人で調査できる。電気探査などは大型で、バッテリーやケーブルが複数必要です。
非常に調査が楽になります。
ただ、従来の方法の方が精度は高いので、どこで調査をするかなどの概査に本装置を用いるのがよいと思います。③コストが非常に安い
例えば電気探査を行った場合、1km、電極間隔2.5m、探査深度50mで300万円くらいかかります。 -
Q:1-02 装置は、誰でも使えるのでしょうか?
A:
多少の測定練習・訓練で誰でも使えるようになります。
一般的などのような機器でも、多少の練習が必要です。その程度の測定練習・訓練です。特段難しい測定練習・訓練ではありません。
この装置は、正しく使えば内部演算によって、誰でも同じ結果が出るようになっています。ただし、取り扱いを間違えると異なる結果が出ますので、正しい測定方法で測定する必要があります。正しい測定結果を得る重要なポイントは以下の3項目となります。- センサーをしっかり地盤に挿すこと
- 静かに立つこと
- ノイズの少ない時に測定する
2.測定に関する質問
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Q:2-01 深さはどの位まで測定可能でしょうか?
A:
水みちの水量にもよりますが、探査深度はおよそ10m程度です。
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Q:2-02 流れている水の量は測定可能でしょうか?
A:
現状では水の量は測定できません。
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Q:2-03 「水みち」が複数あった場合は個々に細かく位置を特定できるのでしょうか?
A:
「細かく」がどの程度かという事がありますが、m単位であれば問題なく測定できます。
例えば、20cm間隔で水みちが5個あった場合、微細な視点で見れば別の水みちですが、その1mの範囲に水が集まっているようだという知見の方が、現地では重要です。 -
Q:2-04 観測データから誰でも簡単に「水みち」が読み取れるのでしょうか?
A:
縦・横断測線を設け、そこで数m間隔で音の強さを測定します。
この調査により音の分布のグラフを作成し、音のピークの真下に水みちがあるとお考え下さい。 -
Q:2-05 斜面を測定する場合に、測定ポイントはどのように決めるのでしょうか?(比高から概ねこの高さ的な目安の決め方などがありますか。)
A:
調査目的によって測定する場所、間隔は異なります。これは実際には調査者が決めます。山地で崩壊を対象とするであれば1m、2m、5m、10m間隔くらいです。
重要な点は、水みちを外さない間隔を選択することです。その間隔は、地質の節理の幅によって決まります。 -
Q:2-06 「水みち」があるということは、十分に探知できるほどの水量が、常時流れているのでしょうか?
A:
水みちの水量は常に変化します。それに伴い、音の強さも調査日毎に異なります。
良い測定タイミングは、雨が降った2,3日後に測定すると音も大きく聴こえます。 -
Q:2-07 本装置による井戸の調査実績がありますが、聞こえる音は斜面の「水みち」の音と同じなのでしょうか。
A:
同じです。土粒子、礫サイズなど粒径の大きさによって気泡の大きさが変わり、発生する曝気音に低音、高音の違いは出てきますが、曝気音自体は普遍性があります。
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Q:2-08 測定は地質に左右されるのでしょうか?また、測定可能、不可能の判断基準はあるのでしょうか?
A:
山地の場合、地面にピックアップセンサーを挿して曝気音がしない場所はほとんどありません。
地質によって曝気音が発生しやすい地質、発生し難い地質があります。
礫、砂系、亀裂発達した地質、例えば花崗地帯や付加帯地域の地質では曝気音が生じやすいと思われます。
一方、粘土系の地質、例えば、火灰堆積物地帯、凝灰岩などでは曝気音が小さい傾向があります。
火山地帯では地下水が鉛直浸透しやすい(音源が遠くなりやすい)ことも影響していると思われます。 -
Q:2-09 砂利・石・土・砂などの色々な地盤においても計測可能でしょうか?
A:
ピックアップセンサーを突き挿すことができれば、どのような地盤でも計測可能です。
道路アスファルト等のように突き挿すことができない場合は、センサーディスク(オプション)で測定することが可能です。
ただし、感度は落ちてしまいます。
測定できないのは、水溜のような水没した地盤で、ピックアップセンサーの防水の問題ではなく、水没した地盤では音がしないためです。 -
Q:2-10 河川周辺での測定は可能でしょうか?
A:
測定可能です。しかし場所によっては河川の音が大きい、車の交通量が多いなど測定困難な場合があります。
街中の場合は、夜に測定するなど、静かな時に測定する工夫が必要です。 -
Q:2-11 水みちから聞こえる音とノイズ(雑音)の違いは、判断できますか?
A:
判断可能です。地下に流れる水の音は「ポコ」、「ボコ」、「プチ」などの曝気音ですが、他のノイズは、「ガサガサ」などの音がし、曝気音の音とは異なります。
しかし、多くのノイズの中から曝気音を聞き分けるのではなく、静かな環境で測定することが重要です。
3.地下流水音測定装置に関する質問
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Q:3-01 装置のバッテリーはどのくらいの時間、測定が可能でしょうか?
A:
8時間以上の測定が可能です。
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Q:3-02 地下流水音測定装置の防水性能はどのくらいでしょうか?
A:
簡易防滴構造です。
ピックアップセンサーやヘッドホン、シリアルケーブルのコネクター部分等は防水ではありません。 -
Q:3-03 センサーロッドの長さは延長可能でしょうか?(測定場所によっては地下深くの状況を測定したいので)
A:
センサーロッドは、測定深度のために変更するものではありません。
ピックアップセンサーの底面を確実に地盤(地面)に接触・固定させるためのものです。センサーロッドの種類 使用環境 大(20cm) センサー底面の接触が維持できない軟弱な地盤用 中(15cm) 標準:一般的な地盤用 小(10cm) 地盤の土層が浅い場所用 (法面の吹付工など) センサーディスク 岩盤、アスファルトなど土のない場所 -
Q:3-04 装置に記録される測定データの録媒容量はどれくらいでしょうか?
A:
装置の内部メモリーに保存可能な測定データ件数は800件です。
800件以上になる場合は、PCにてデータを回収する必要があります。 -
Q:3-05 装置の測定周波数の範囲はどれくらいでしょうか?
A:
ピックアップセンサーにおいて、ピーク周波数:1.3kHz、実用領域:0.1~1.8kHzです。
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Q:3-06 電源投入時は、常に音量設定は「0」になっているのでしょうか?
A:
「0」には戻りません。最後に設定操作をした音量が維持されます。
※工場出荷時設定では、音量は「0」に設定して出荷しています。 -
Q:3-07 記録されたデータの取り込み方法及び処理方法について教えて下さい。
A:
取り込み方法、処理方法は、このHP内の説明文および購入時付属の取扱説明書をご覧ください。
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Q:3-08 収録されるデータの分解能(解像度)はどの程度なのでしょうか?
A:
測定記録器で16ビット分解能のA/Dコンバータで、2KHz周期サンプリングを行っています。
ピーク値(PD)及び代表値(D)の演算処理に関しては「取扱説明書」を参照願います。
また、LINE OUT 出力はアナログ信号を増幅した出力なので分解能はありません。
4.測定の注意点等に関する質問
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Q:4-01 測定時の周囲環境で注意する事はありますか?
A:
周囲のノイズ(音)が少ない日時・タイミングを選んで調査してください。
ノイズが多い時にフィルターのみではノイズは無くならず、あくまで軽減するのみです。
山地など静かな場所で普通に測定を行えば、ノイズが気になることはありません。
フィルターで最も削除しにくいノイズは、風によるノイズです。風のない日、弱い日に調査をすることをお勧めします。
ただ、風が強い日でも風が、常時強いわけではないので、弱いタイミングを見計らって計ることは可能です。
また、ヘリや飛行機、車の音がする場合がありますが、こういうノイズは音源が遠ざかるのを待てば影響がなくなります。
要点としては、ノイズにはさまざまなものがありますが、ノイズのないタイミングを見計らって測定して下さい。 -
Q:4-02 調査時、測定近辺にて支障をきたす原因や物はあるのでしょうか?
A:
飛行機の音・車の音・人の話し声・風等の音源(ノイズ源)が測定に支障をきたします。
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Q:4-03 測定するタイミングは、降雨後が良いのでしょうか?
A:
平常降雨の場合は翌日に測定可能ですが、台風等の豪雨直後は、あらゆる場所でレベルメーターの振れが大きく、水みちを正しく推定できない場合があります。そのため豪雨時は、2~3日後に測定すると水みちが推定しやすいです。
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Q:4-04 降雨時などは地表の音も大きいと思われますが、測定に影響はあるのでしょうか?(また、他の気象条件による影響はあるのでしょうか)
A:
雨の日、風の強い日などは、環境によるノイズが大きいため、正確な調査ができませんので調査には不適切です。
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Q:4-05 山間部やダム堰堤等の周辺での風の影響は大丈夫でしょうか?
A:
風はノイズが大きく測定に支障をきたします。センサーの周りを風防で覆うなどの工夫が必要です。
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Q:4-06 測定場所の近くに金属などが埋まっていた場合は測定に影響するのでしょうか?
A:
金属の大きさ、形状にもよりますが、普通のガス管程度の大きさであれば、影響はありません(管が振動を発しているなど音源となる場合を除く)。
また、水脈の上に鉄板があると聞こえにくくなる場合があります。 -
Q:4-07 土質により音の伝搬が変わると思います。測定前には土質の事前調査をしたほうが、より高い精度の結果が得られるのでしょうか?
A:
地盤調査と解析を駆使すれば精度は上がると思います。
しかし、地盤調査に費用と時間がかかるので、その代わりの簡便な調査方法です。
5.その他
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Q:5-01 コンサルタントの業務の中で、どのような内容で利用できるのでしょうか?
A:
設計、施工などの計画の中で、地下に流れる水の場所が問題となる場合に、その調査としての利用が考えられます。
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Q:5-02 今までどのような方法で水みちの調査がされてきていたのでしょうか?
A:
電気探査、空中電磁探査、1m深地温探査などで調査が行われています。
どの方法にも一長一短があります。①電気探査:測定に時間がかかる、装置が重く、ケーブルの引き回しが大変などの大きな労力が必要。
装置200~800万程度と高価。②空中電磁探査:電気探査よりも広域で評価できる。分解能が低い。
ヘリコプターにセンサーをぶら下げて調査をするので、非常に高価。
装置+ヘリコプター費用+装置1式=数百万~千万円③1m地温探査:1mの深さの地温を測定する。
1mの穴をあけるのに労力が必要。測定には4人程必要。
装置100万円程。 -
Q:5-03 使用して間もないので水みちの音がよくわからないのですが、水みちの音の判断基準や解り易いコツはありますか?
A:
水みちから発する曝気音は、砂・礫地盤が最も強いので、砂・礫地盤で湿っている場所と湿っていない場所で測定し、聴き比べると違いが良くわかります。
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Q:5-04 装置の重さや持ち運びし易い方法について教えて下さい。
A:
ピックアップセンサー、測定記録器、ヘッドホン、電池で合計約2.5kg程度です。
通常は、リュックなどに入れて持ち運びます。