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総合防災対策専門メーカーの株式会社拓和

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地下流水音の測定方法と測定注意点

測定条件に関する注意点

地盤の種類と音の大きさ

図1は、全国各地で地中音測定装置にて測定した代表値(D)を地質ごとに整理したものです。
装置の設定値は、フィルターの周波数は300~1,200Hz、増幅率5倍で測定しています。
なお、砂は海岸域の砂地で測定したもので、フィルターの周波数は400~800Hzと他の地質よりも狭い値で測定しています。
また、図中nは測定点数を表し、合計9,265 点測定しています。
測定点数は地質によって異なり、スコリア等、測定数の少ないものも含まれています。

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図1 代表値(D)と地質の関係(フィルター:300~1200Hz、AMP5で代表値(D)を測定)

(参考文献:新日本編集企画編(2014)「斜面崩壊対策技術:メカニズム・センシング・監視システム・新施工法」P.221,株式会社エヌ・ティー・エス)

風化すると粗粒化し礫や砂となりやすい黒色片岩(変成岩)、花崗岩、スコリア、砂で測定された代表値(D)の大きさは、中央値である第2四分点の値が大きく、値の分散を表す第1、第3 四分点の範囲が広くなっています。
一方、風化すると粘土化しやすい玄武岩、安山岩は第2四分点の値が小さく、分散を表す第1、第3四分点の範囲も狭くなっています。
また、火砕流堆積物や凝灰岩、砂岩泥岩互層は、砂礫と粘土の両方が混在する場合が多く、地下に流れる水の音の大きさと分散は両者の中間的な値となると考えられます。
これらのことから、粗粒な礫・砂の地質では地下に流れる水の音が大きく、細粒な粘土の地質では小さくなる性質があります。
これは粒径によって間隙サイズが異なるためと考えられます。
すなわち、間隙のサイズは、礫 >砂 >粘土の順で小さくなり、同じく、間隙で形成される気泡のサイズも 礫 >砂 >粘土の順で小さくなります。
気泡が割れる際に生じる曝気音は気泡サイズが大きいほど低周波となり減衰しにくいため、粗粒な礫・砂の地質では地下に流れる水の音が大きく、細粒な粘土の地質では小さくなると考えられますが、この点はまだ確認に至っていません。また、一般に弾性波は礫砂よりも粘土で減衰率が大きいため音が小さくなると考えられます。

探査深度について

流量、傾斜、地質によって探査深度は変化するものと考えられますが、過去の実績では、10m程度の深さまで探査できることが明らかになっています。

周囲の音の影響

自動車・飛行機・ヘリコプターなど、周囲の騒音がノイズとなり測定値に影響を及ぼすことがあります。このような場合はノイズとなる音源が消えるまで測定を中止し、ノイズが消えた後に測定を再開してください。
内蔵されているフィルターは周囲のノイズを完全に消すことはできません(軽減することはできます)。特に風の影響を強く受けます。実際には、ローカットフィルターが300Hz以下の場合は風速2m/s以上、ローカットフィルターが200Hzの場合は1m/s以上になると影響が強くなります。
強風の日を避け、静かな場所での測定を推奨します。

気象条件の影響

降雨時や強風の日は雨滴や風切音がノイズとなり正確な調査ができませんので、このような日を避けて測定してください。

降雨終了雨後の測定タイミング

平常降雨の場合は翌日に測定可能ですが、台風等の豪雨直後は、あらゆる場所でレベルメーターの振れが大きく、水みちを正しく推定できない場合があります。そのため豪雨時は、2~3日後に測定すると水みちが推定しやすいです。

測定データの記録と回収

技術資料

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